宗像窯
文化?歴史
ロイヤルシティ豬苗代ヒルズ/2025.07.31
ロイヤルシティ豬苗代ヒルズが位置する福島県豬苗代町と同じ、「會津地方」に屬する福島県會津美里町。この町には、東北最古の窯場といわれる『會津本郷焼』が伝わります。発祥は安土桃山時代の1593年(文祿2年)。蒲生氏郷が若松城(現(xiàn)在の鶴ヶ城)の改修のために兵庫県の播磨(はりま)から瓦工を招き、瓦を焼かせたのが始まりで、実際に獨自の焼き物が焼かれ始めたのは1645年(正保2年)。當(dāng)時の會津藩主 ??普肖い棵罎鈬鵀亼醭錾恧翁展い?、本郷村に原土を発見したことがきっかけとなり、本格的に陶器の製造が始まりました。
宗像窯の看板とギャラリー
會津本郷焼の大きな特徴は陶器と磁器、両方の原土が地元で採れ、陶器と磁器が一緒の産地でつくられている稀な場所であることです。現(xiàn)在活動する13窯の窯元には陶器専門、磁器専門があり、同じ産地とは思えないほどそれぞれに作風(fēng)も個性的です。1719年(享保4年)に創(chuàng)業(yè)した宗像窯(むなかたがま)は、布教活動のために福岡県から會津本郷(現(xiàn):會津美里町)に移住した宗像大社の神官が祖で、生活の糧に陶器づくりを始め、江戸時代後期から陶業(yè)に専念?,F(xiàn)在、八代目當(dāng)主の宗像利浩さんと九代目の利訓(xùn)さんがその歴史を紡いでいます。
宗像窯で代々つくられる「にしん鉢」。郷土料理「にしんの山椒漬け」の保存に使われる器で、陶器の作用で発酵を促す
宗像窯で代々焼かれているのが、にしんの山椒漬けを漬ける『にしん鉢』です。にしんの山椒漬けとは會津地方の郷土料理で、身欠きにしんを山椒や酢醤油などで漬けたもの。古くから続く家では、代々にしん鉢が大事に受け継がれています。厚みのある粘土板を5枚貼り合わせた鉢は、シンプルな長方形で、それ故に形成の難しさがあるとか。1958年(昭和33年)にベルギーで開催されたブリュッセル萬國博覧會では、六代目豊意さんの代に、にしん鉢がグランプリを受賞し、柳宗悅も『健康な仕事』と絶賛しました?,F(xiàn)在は、郷土料理以外にもワインクーラーや花器など幅広く愛用されています。
作業(yè)場で菊練り作業(yè)を行う宗像利訓(xùn)さん。地元の向羽黒山で採取される「的場陶土」は適度に鉄分が含まれ、獨特の匂いがする
地元、向羽黒山(むかいはぐろやま)で採れる的場陶土を扱う宗像窯では、釉薬(ゆうやく)も、鉄分の多い的場陶土に合わせてオリジナルで製造。特に自然灰でつくる「灰釉」にはこだわりがあり、焼成した際の化學(xué)反応でガラス質(zhì)に変化し、獨特の光沢とグラデーションを表現(xiàn)します。作品から彷彿されるのは、冬の朝に見る薄氷や霧の秘境などの神秘的な自然の風(fēng)景。鮮やかな色味の中に不思議な光を感じさせます?!复啢铯扭辘蛏鷺I(yè)として、自然の恩恵を受けてきましたから、作品にも地元の風(fēng)土性を大事にしています。自然への感謝と、その良さを引き出す作品を作り続けていきたいです」と九代目の利訓(xùn)さんは語ります。
會津美里町の指定文化財とされている宗像窯の登り窯
江戸時代中期につくられた宗像窯の登り窯は、ギャラリーから歩いて數(shù)分の山の斜面にあります。全長約20m、幅約5mを有し、七つの窯が連なる國內(nèi)有數(shù)の大窯で、東北では最古の登り窯として會津美里町の指定文化財に選定。東日本大震災(zāi)では大きな被害を受けましたが、登り窯再生のために、以前から宗像窯と親交があった方々がプロジェクトを立ち上げ、翌年5月に起工。多くの個人支援者にも支えられ、2013年(平成25年)1月には東大寺別當(dāng)による復(fù)興祈願式が執(zhí)り行われました。
(寫真左上)翠彩輪花鉢 (寫真右上) 翠彩天目茶碗 (寫真左下)銀彩天目杯 (寫真右下)釣窯壺
現(xiàn)在も毎年新作をつくり続け、國內(nèi)外の個展で発表している利浩さんと利訓(xùn)さん。親子であり師弟でもあるおふたりの関係について「仕事場では師弟特有の緊張感もあると思いますが、親子ならではのコミュニケーションや、受け継がれ方があり、父から學(xué)ぶことも多く、仕事のアドバイスを受けたり、時には私の意見も尊重してくれていることに感謝しています」と語る利訓(xùn)さん。父の利浩さんも「新しい視點を取り入れて作陶する姿勢に、私も刺激を受けています」と靜かに語ります。「今後は、代々受け継がれてきた的場陶土や、自然灰などの原料の素材を生かしながら、新しいことにも挑戦し、自分の個性も表現(xiàn)した作品づくりをしていきたいと思っています」(利訓(xùn)さん)
利訓(xùn)さんは豬苗代町に在住。磐梯山や豬苗代湖など、豬苗代やその周辺の自然からインスパイアを受けることも多いとか