活版印刷とは、金屬でできた文字型(活字)を一文字ずつ組み合わせた版にインクを塗り、紙に押し付けて印刷する印刷方法です。15世紀(jì)のドイツで活字を用いた印刷機(jī)が発明され大量複製が可能になると、それまで高価だった本が庶民にも普及。あらゆる文化の発展に大きく貢獻(xiàn)した活版印刷は、のちに羅針盤、火薬とともに『ルネサンス三大発明』のひとつにあげられています。日本で活版印刷の技術(shù)が活用されるようになったのは江戸時代末期。それから日本で初めての日刊新聞が登場したほか、明治維新から10年の間に3,600點にも及ぶ本が活版印刷でつくられたといいます。

「池田活版印刷所」がある本町通りは、別名「白壁通り」と呼ばれ、白壁づくりの酒造や商家が立ち並び、御船町の経済の中心地として賑わった

「池田活版印刷所」は、御船町(みふねまち)の本町通りに1890年(明治23年)創(chuàng)業(yè)。以來135年を経た現(xiàn)在まで、同じ場所で営業(yè)を続けています?，F(xiàn)在5代目を継ぐ吉田典子さんによると、曽祖父の池田萬太郎氏がこれからの時代を先読みし、當(dāng)時勤めていた町役場を退職。印刷機(jī)材や活字を一式そろえて、活版印刷所の営業(yè)を始めたといいます。池田活版印刷所が建つ本町通りは、當(dāng)時の町の経済の中心地だったこともあり、官公庁や商工業(yè)分野からの印刷物の需要が多く、地域にも印刷物の利便性をアピールしていきました。

誠実な仕事ぶりで祖父、父、母と代々守ってきた印刷所を吉田さんが受け継いだのは10年前のこと。定年退職後は悠々自適な暮らしを送るつもりでいたそうですが「いざ目の前のことを考えてみると、親の仕事をちゃんと見ていなかったなと。私にできるんだろうか……と思っていたら、どこからか『やってみたら??？』っていう聲が聞こえたような気がして(笑)」と継承を決意します。しかし、カラー印刷や寫真印刷ができないことから、當(dāng)初は時代に取り殘された気持ちになったとか。そんな気持ちを払拭してくれたのは、2016年(平成28年)に起こった熊本地震のボランティアに來ていた若者たちでした。

哀愁も洗練も印圧される、活版印刷の味わい深さ

「『寶の山だ！』『かっこいい！』『一周遅れのトップランナーですよ！』って、床に落ちた活字を拾いながら言ってくれて」?；钭证香Uと錫(すず)とアンチモンを鋳造したもので、印刷所にあるほとんどが創(chuàng)業(yè)當(dāng)時から使われている貴重なもの。デジタルプリントでは表現(xiàn)できない、活版印刷特有のノスタルジックな味わいと紙の風(fēng)合いは、現(xiàn)代でも幅広い世代を魅了します。池田活版印刷所では名刺をはじめ、カレンダーや案內(nèi)狀、句集などの冊子にも対応しており、お客さまからの要望を聞きとった原稿をもとに、活字の書體や大きさを選定。膨大な數(shù)の活字から必要な文字を選び出したら、手作業(yè)でレイアウトしていきます。

吉田さんの名刺の「活字コード」。知ってほしい情報やイメージを単語で表現(xiàn)している

店の特徴や情報を2cm四方にまとめた二次元コードならぬ『活字コード』は、池田活版印刷所のオリジナルデザイン。情報を凝縮した単語がさまざまな書體でレイアウトされ、手渡した時にしばらく話題になりそうです。名刺は100枚から受け付けており、活字と紙がそろえば2?3日で完成。自営業(yè)の人やグラフィックデザイナーからの問い合わせが多い中で、本業(yè)とは別に個人的に『セカンド名刺』をつくる人も少なくないとか。一文字一文字、吉田さんが手作業(yè)で活字を並べ、一枚一枚確認(rèn)しながら印刷していく活版印刷は、味わいと希望に満ちています。