愛でてよし、食べておいしい蕓北の「赤そば」

ロイヤルシティ蕓北聖湖畔(げいほくひじりこはん)リゾートがある広島県北広島町は、広島県の北西部、西中國(guó)山地に広がり、北は島根県と接しています。標(biāo)高約800mに広がる八幡高原には、西日本でも最大規(guī)模の濕原群、八幡濕原のほか、昭和初期まではいたるところにカキツバタが自生していたといいます。現(xiàn)在は、地元の休耕田を利用したカキツバタの里として管理され、初夏から梅雨入りまで、みずみずしい紫色が一面を覆います。
秋になると、その近隣のそば畑に可憐な赤い花が咲き、田園風(fēng)景にピンクの絨毯を敷いたような華やかな景色が広がります。通常のそばは白い花を咲かせますが、ここで育てられているのは「赤そば」といい、もともとはヒマラヤ原産の観賞用の植物でした。1987年(昭和62年)にヒマラヤから日本に持ち帰った赤い花をもとに、信州大學(xué)の教授と種苗會(huì)社が共同開発し、真紅の花「高嶺ルビー」が誕生。さらに、品種改良を重ね、赤みを増した「高嶺ルビー2011」が誕生しました。

蕓北 高原の自然館に併設(shè)する「かりお茶屋」

蕓北の新しい秋の風(fēng)物詩

蕓北の秋を彩る新しい観光資源を求めて、各地を回っていた髙木茂さんは、長(zhǎng)野県南部の箕輪町(みのわまち)で満開の赤そば畑を目の當(dāng)たりにして、これを八幡高原で育てようと一念発起。箕輪町と標(biāo)高が同じ蕓北でもつくることができるかもと思い、まずは一人で栽培を始めました。年々生産者が増えるとともに、ピンクの絨毯の風(fēng)景も拡大。現(xiàn)在は地域の14戸が赤そばの栽培を手掛けています。
毎年7月下旬から種を蒔き、75日後の10月頃に収穫がスタート。収穫したそばの実は、3日間ほど天日干しすることで、製粉後もそば本來の香りを保たせます。赤いそばの実も、干していくと徐々に茶色に変化しますが、製麺後には、再びほのかなピンク色に。通常のそばに比べ粒が小さいため、同じ規(guī)模で栽培しても、製粉後の量は3分の1にしかならないといいます。赤そばの赤色は、アントシアニンというポリフェノールの赤色で、免疫力を高める栄養(yǎng)価に恵まれたものです。

赤そばが食せるのは、この1軒

そんな赤そばを食べられるのは、八幡高原の入り口にある「蕓北 高原の自然館」に併設(shè)する食事処「かりお茶屋」だけ。赤そばを通年味わえるところは、國(guó)內(nèi)でも珍しいといいます。
人気は、赤そばの盛りそば。日曜日には120食近くがオーダーされる看板メニューです。そばを打つのは、県內(nèi)でそばの里として知られる豊平(とよひら)で修業(yè)してきた、地元出身のそば職人 迫正治さん。髙木さんが製粉した赤そばの粉に、つなぎ粉を加えて打ちますが、畑が違えば実の水分量も異なるので、水やつなぎ粉の割合もその都度調(diào)子を見ながら調(diào)整していきます。打つ際も、少し手がかかるクセのある粉ですが、手がかかった分、おいしさも増していきます。

赤そばが満開を迎えるのは、毎年9月頃。ひとつひとつの花はとても可憐ですが、山に囲まれた田園の中で、鮮やかにいきいきと咲き誇ります。同じ日でも陽光の當(dāng)たり方によって、燃えるような赤に見えたり、華やかなピンクに見えたりと、いろんな表情を見せる赤そばの風(fēng)景を収めようと、シーズンには多くの見物客や寫真愛好家でにぎわいます。現(xiàn)在も生産希望者が増え続ける赤そば。この風(fēng)景も、ますます大きくなっていきそうです。

赤そばの里 八幡高原代表の髙木茂さん。現(xiàn)在も赤そばを栽培し、地域で生産された赤そばの製粉を擔(dān)當(dāng)しています。「赤そばを販売するようになって8年目を迎えます。職人の迫さんも赤そばの性質(zhì)に慣れてこられて、今は本當(dāng)においしいそばになってきています。つゆもますますおいしくなっています」