子育て世代が直面する課題の根本的解決につなげたい

政府が発表した2014年度の年次経済財(cái)政報(bào)告（経済財(cái)政白書）によれば、日本の労働力人口中、2013年の女性の労働力人口は約2,800萬人。現(xiàn)在は子育てなどで就労していないものの、子どもを預(yù)けるなどして安心して働けるのであれば、働きたいと考えている女性は300萬人以上いると指摘されています。

しかし、核家族化が進(jìn)む現(xiàn)代では、保育園や幼稚園に預(yù)けていても、何かあったときに頼れる人がいません。そのため、子育てと仕事の両立に不安や悩みを抱えている人が多くいるのです。

そんななか、甲田氏は「身近に子育てで困っている人がいるならば、助けてあげたい」と考える人たちがいることに注目しました。そこで「何かあったときには、信頼できる人に子どもを預(yù)けて、働きながら子育てをしたい」という人と「子育てで困っている知り合いがいたら、助けたい」という人とをつなぐサービスをつくろうと、AsMamaを立ち上げました。

「私を含めた現(xiàn)代の子育て世代は、これまで根付いていた『預(yù)けたから預(yù)かってあげる』というような『お互い様』が葉えられず、頼り合いが出來ずにいることを?qū)g感しました。そこで、預(yù)かるばかり、預(yù)けるばかりの関係を『ありがとうの500円』という謝禮金ルールを作ることでシステム化し、互いに気兼ねせずに子育てをシェアできるようにしたのが『子育てシェア』です。

そして、働くこと、預(yù)かることでそれぞれの世帯収入を上げ、経済を発展させ、孤立する家族や子どもを減らし、地域コミュニティの活性化をする。そのような共助のシステムを作ることで、日本が抱える社會(huì)課題の根本解決につなげていきたいと考えたのが創(chuàng)業(yè)の経緯です」（甲田氏）。

顔見知り限定。だから安心して利用できる

2009年の創(chuàng)業(yè)當(dāng)時(shí)から、サービスの仕組みやビジネスモデルを模索し続け、現(xiàn)在の子育てシェアの仕組みが立ち上がったのは2013年の4月。2014年12月現(xiàn)在、子育てシェアの登録者數(shù)は約23,000人となり、利用者は拡大を続けています。このサービスの魅力とは、いったいどこにあるのでしょうか。

「子どもを預(yù)ける依頼を?qū)熡盲蜸NSを介して行うわけですが、支援する側(cè)とされる側(cè)とが顔見知りであることが前提です。會(huì)ったこともない人に子どもを預(yù)けるのは不安なはずですから、友達(dá)申請を承認(rèn)するには相手の電話番號(hào)の下四桁を入力する仕組みとしています。支援を依頼する際は、友達(dá)全員に発信することはもちろん、支援をお願(yuàn)いしたい人を選んで発信することもできます。

また、萬が一預(yù)けた子どもがケガをしたり、預(yù)け先の家で何かを壊してしまったり......という場合には、最高5,000萬円の保険が適用されます（※1）。利用者の方から保険料をいただくようなこともありません」（甲田氏）。

※1 重大事故等により支援者に賠償責(zé)任が発生する場合に限ります。擦り傷、切り傷などの日常的に起こりうる軽傷や軽微な物損は補(bǔ)償対象外になる場合があります。

支援を受けた人は、支援してくれた人に対して、1時(shí)間500円～700円の謝禮を支払います（※2）。方法は、現(xiàn)金で直接渡すかクレジットカードで決済し支援者の銀行口座に振り込む仕組み。

「私たちは、子育て世代からは料金を徴収しないということをビジネスポリシーとしているため、謝禮金は直接支払う仕組みをとっています。」（甲田氏）。

株式會(huì)社AsMama代表取締役社長の甲田恵子氏

※2 通常は1時(shí)間500円。AsMamaで託児研修を受講したママサポーター（無資格）、有資格者の一般の方：600円。ママサポーター（有資格）：700円。

資金源を利用者に求めず、協(xié)賛も得ないからこそサステナブル

登録料、手?jǐn)?shù)料が一切かからず、全利用者に最高5,000萬円までの保険が掛けられているというこのサービス。いったい、どんなビジネスモデルなのでしょうか。

寫真提供：AsMama

「どんなに求められているサービスでも、サステナブルでなければ意味がありません。収入を得るために働いているはずの人が、子どもを預(yù)けるのに1時(shí)間1,000円、2,000円も払い続けられるでしょうか。

また、企業(yè)からの広告を収益源としてしまっては、景気に左右されてしまいます。子育てシェアは、支援すること、されることで自己実現(xiàn)できるという共助のプラットフォームを作るための取り組みであり、一般的な企業(yè)ができないような、私たちだからこそできるという部分の事業(yè)価値を提供することで収益を上げ、ビジネスモデルを成立させているのです」（甲田氏）。

では実際の収益源はどうしているのでしょうか。

「AsMamaでは、全國で年400回程度、延べ8萬人の子育て世代を集めてイベントを開催しています。このイベントに協(xié)業(yè)企業(yè)を募って、イベント運(yùn)営費(fèi)用として収益を得ているのです。育児関連だけでなく、多様な企業(yè)にニーズがあります。子育て世代の情報(bào)源は口コミであることが多いので、AsMamaはひとつの”ヒトメディア”として成立しているのです」（甲田氏）。

イベントの様子。年間約400回、延べ8萬人の子育て世代が參加する。

寫真提供：AsMama

ママサポーターとイベント參加者達(dá)の様子。

寫真提供：AsMama

このイベントは、子育てシェアを広めることにもつながっており、ここにはママサポーターの存在が深くかかわってきます。ママサポーターとは、AsMamaで託児研修を受講した、地域で託児や送迎の支援活動(dòng)をしているサポーターたちのこと。

「ママサポーターが中心となり、口コミでイベント參加者を集めたり、イベントに來た人に、AsMamaの子育てシェアの仕組みについて説明したりします。このママサポーターの存在は、ほかにも重要な役割を擔(dān)っているんです。子育て世代が現(xiàn)実的に安心して子どもを預(yù)けられる相手は、本來、実家や近所の頼れる顔見知りのはず。

ところが核家族化が進(jìn)んでおり、しかもご近所同士のつながりは希薄になっているといわれます。その中でいきなり子育てシェアをしましょうといっても、なかなか難しいのが現(xiàn)実なのです。

サポート依頼に対し、支援者が見つかっていない場合には、AsMamaのスタッフであるママサポーターから『良かったら友達(dá)になりませんか？』という形でアプローチをし、孤立しないようにしています。このママサポーターが子どもを預(yù)かる際は、通常より少しプラスした1時(shí)間600円としています」（甲田氏）。

チラシを使い、イベント集客やママサポーター募集、子育てシェアへの利用登録につなげている

今後は、企業(yè)や自治體との提攜を考えているそうです。

「習(xí)いごとの教室と提攜すれば、平日の習(xí)いごとがしやすくなるというメリットが生まれます。あるいはマンションで導(dǎo)入すれば付加価値にもなりえますし、自治體や行政、企業(yè)人事の福利厚生や派遣會(huì)社、既存コミュニティなどでの共助促進(jìn)事業(yè)で利用してもらうこともできるわけです。こうした生活共助のプラットフォームとして拡大していきたいと思っています」（甲田氏）。