インタビュアー（以下I）：三浦先生の事務(wù)所は醫(yī)療関係に特化しているとお聞きしました。

三浦（以下M）：私は平成18年1月に開業(yè)する前は、醫(yī)薬品卸會(huì)社の開業(yè)支援事業(yè)部に勤務(wù)していたこともあり、醫(yī)療関係、中でもクリニックに特化しています。
通常稅理士は、クリニックが開業(yè)してから稅務(wù)業(yè)務(wù)を始めることが多いのですが、私の場(chǎng)合はご開業(yè)のお手伝いから始めます。融資のご紹介をしたり、事業(yè)計(jì)畫書を作成したり、スタッフ採(cǎi)用や、時(shí)には內(nèi)裝業(yè)者と同席してレイアウト図面の打ち合わせをしたりもします。また、醫(yī)療機(jī)器や電子カルテのデモから発注?設(shè)置というところまで、融資とスケジュール連動(dòng)させていただきながら支援します。私の場(chǎng)合、稅理士業(yè)務(wù)とは別に行っているこうしたコンサルティング業(yè)務(wù)がメインになっています。

I：お醫(yī)者様の資産稅に関する相談では、単純な相続ではないケースも多そうです。

M：クリニックの相続は、事業(yè)の相続なので、資産稅の相談とは別の話になります。醫(yī)療の相続には親子承継と第三者承継があり、第三者承継は譲渡、親子承継は相続や贈(zèng)與になります。また、親が開業(yè)してから30～40年経つと人口動(dòng)態(tài)も変わるため、開業(yè)時(shí)と子どもに承継するときでは街の診療圏とは違っています。そこで建て直したほうがいいのか、もしくは親の自宅に新たに建てたほうがいいのか、診療圏調(diào)査をしながらプランを立てることもあります。
大和ハウス工業(yè)様とは整形外科醫(yī)のクリニックと自宅の案件でご一緒したことがあります。ある整形外科の先生が適齢期になって開業(yè)を考えた際、お父様が整骨院をされている不動(dòng)産で承継したいということでした。しかし、施設(shè)は老朽化していて建て替えが必要なうえに、診療科が違うので、レイアウトも違います。さらに、相続稅の対策もできないかというご希望も出てきました。
建て替える場(chǎng)合、居住用であれば特定居住用宅地等の80％評(píng)価減が使えますし、事業(yè)であれば特定事業(yè)用宅地等の80％評(píng)価減を使うことができます。今は両方を組み合わせることも可能です。郊外であれば、駐車場(chǎng)も考慮に入れてクリニック立地を広くとれます。しかし、都心は地価が高くて狹いので、事業(yè)用?居住用両方を兼ねられれば合理的です。最終的に4階建てに建て直して、1階と2階をクリニックとして使うことにしました。整形外科は、外來とリハビリの2つの機(jī)能で分けました。3階、4階は、息子さんのご自宅とお父様のご自宅の二世帯住宅にしました。稅務(wù)対策スキームを加えたうえで事業(yè)承継と相続両方の対策をして建てるという提案をしました。結(jié)果、複數(shù)メーカーのコンペの中から採(cǎi)用いただくことができました。

I：開業(yè)する、承継する、後継者がなくやむを得ず廃業(yè)するなど、1件1件すべての事例が違いますね。

M：ケースによってまったく違いますから、稅理士やコンサルタントが、その都度、それぞれの最適を探していかなければなりません。今までやっていた醫(yī)院をどのタイミングで閉院するのか、承継した後も院長(zhǎng)が継続して勤務(wù)するのかどうかも考える必要がありますし、診療科が違う場(chǎng)合にはレイアウト変更なども含めて、プラン提案をしていかなければなりません。勤務(wù)醫(yī)だった先生は、診療については精通していたとしても、クリニックの院長(zhǎng)経験はないため、経営の観點(diǎn)やクリニックのレイアウトについて詳しくなくても當(dāng)然です。行政手続きについても同様に経験がないのでご存知ではありません。クリニックの閉院や開院には行政手続きが絡(luò)むため、保健所や関東信越厚生局といった行政機(jī)関への屆け出が必要で、そのタイミングがずれてしまうと閉院した後に開院するまでブランクが生じてしまうこともあります。
大和ハウス工業(yè)様のように、醫(yī)療関係の事業(yè)承継についてよくご存知であれば、建築のみの提案で終わりません。行政機(jī)関への屆け出スケジュールを踏まえたうえで、著工時(shí)期、完成時(shí)期、保健所の実地検査、保険診療の開始時(shí)期などの開業(yè)スケジュールを計(jì)畫的にプラン提案していただくことが可能です。東京で新規(guī)開業(yè)の場(chǎng)合、保健所に開業(yè)屆を提出してから保険診療を開始するまで、行政手続き上、実質(zhì)1カ月空くことがあります。しかし承継であれば保険請(qǐng)求を遡及して隙間なく診療を継続することができることも考えないといけません。また、レントゲンを設(shè)置すると漏えい検査がありますし、特殊な施工も入ります。ですから、そういったことを知っているハウスメーカーでないとなかなか安心してお任せすることができません。大和ハウス工業(yè)様はヒューマン?ケア事業(yè)推進(jìn)部もあり、かなり力を入れている印象があります。そこは大いに評(píng)価できるところです。一通りわかっている會(huì)社とはやりとりがスムーズにいきますし、何よりお客様にご迷惑がかかりません。夢(mèng)を持って、かなり多額の資金もかけるので、自分の理想通りのかたちを?qū)g現(xiàn)していただきたいですから。

I：稅務(wù)対策としていろいろなご提案が可能になるかと思いますが、土地オーナー様がいわゆる稅務(wù)対策として賃貸住宅を建てることと、醫(yī)療という事業(yè)を持ったうえでの対策は違うのでしょうか。

M：不動(dòng)産が占める割合にはそれなりのウェイトがありますので、當(dāng)然ながら稅務(wù)対策は考えないといけませんが、そこに事業(yè)を絡(luò)めたご提案をします。単純に居住用の相続稅申告だけであれば、稅理士の本來機(jī)能としてできます。しかし、今は相続が起こってから申告を依頼されるのではなく、「事前にできることはないか」というご相談が圧倒的に多くなっています。それに対応するためには事業(yè)まで関わって、事業(yè)計(jì)畫を組む必要があります。実は、開業(yè)に必要な內(nèi)裝や醫(yī)療機(jī)器等のコストの相場(chǎng)感を理解したうえでクリニックの融資などに関わる事業(yè)計(jì)畫書を作成できる稅理士は意外に少ないのです。必要な金額がわからなければ、融資調(diào)達(dá)額が最終的にどの程度になるかを計(jì)算することはできません。

大和ハウス工業(yè)様以外のハウスメーカーからドクターをご紹介いただいて、困ることがあります。ハウスメーカーが、クリニック、ドクターご自身のご自宅、さらに賃貸住宅まで含めた複合建物のプラン提案をした後、施工間近になってから依頼をいただくと、建物本體しか融資付けをしておらず、いわゆるクリニック部分にはまったく手を付けていないことがあります。ハウスメーカーにとってのこのブラックボックスをどうすることもできず、わかる範(fàn)囲の話だけがどんどん進(jìn)んでしまうのです。居住用賃貸やご自宅の話はクロスや床材や住宅設(shè)備など細(xì)かいデザインまで全部決めているにもかかわらず、醫(yī)院のほうはレイアウトも固まっていないということがあります。醫(yī)療機(jī)器くらいは先生が多少選んだりするのですが、融資が決まっていないので業(yè)者も発注できない。軌道に乗るまでの運(yùn)転資金も必要ですし、內(nèi)科系では內(nèi)裝や醫(yī)療機(jī)器も含めた融資として4000～6000萬円くらいかかります。そんな大きな融資について全く話が進(jìn)んでいないまま開業(yè)直前期まできて、恐ろしい狀態(tài)になってこちらに話が來ることがあるのです。

I：本當(dāng)に幅広い知識(shí)と経験が必要ですね。

M：お客様のニーズに応えてきたら、こういう業(yè)務(wù)のかたちになりました。私どもの事務(wù)所では、稅務(wù)の業(yè)務(wù)としてはオーソドックスなこと、法令遵守できることしかやりません。しかし、それだけだとお客様との関係を強(qiáng)化することはできませんので、付加価値としてクリニックの収入を伸ばすための情報(bào)や分析資料を提供すること、人事や労務(wù)関係の相談や提案も含めて支援しています。月次巡回監(jiān)査で院長(zhǎng)先生とお話をする際は、どちらかというと稅務(wù)や會(huì)計(jì)関係の話題は短く、殘りの時(shí)間は労務(wù)の話が主です。雇用に関する複雑な話にもなることもありますので、開業(yè)時(shí)には私も面接官をお引き受けしたりします。ドクターは勤務(wù)醫(yī)時(shí)代に面接官などやったことはありませんので、雇用契約までの流れを作るところまでお手伝いをしています。さらに擔(dān)當(dāng)者がその後のフォローを行っていきます。以前は、「うちには就業(yè)規(guī)則は要らない。殘業(yè)など関係ない」という先生もいましたが、今はそれでは通用しません。これを説得するのも大変です。先生自身が長(zhǎng)時(shí)間労働をやってきているので、「俺からすれば」といわれてしまうのです。今はそうではないということから話をしていかなければなりません。
さらに突っ込んだ専門的な話であれば、社會(huì)保険労務(wù)士や弁護(hù)士と提攜していますので、ワンストップで応えてあげたいと思っています。そこも含めてトータルで支援することが安心感につながると思うからです。そのためには、やはり日頃のコミュニケーションが大事です。懐に入り込む、かゆいところに手が屆くようなことをやってきているからこそ、厳しいこともお伝えすることができるのです。それを踏まえたうえで、単に法律などに従うだけではなく、「先生に有利な運(yùn)用の仕方もありますよ」という話までご提案をする。そういったことが必要になると思います。

I：今、人口動(dòng)態(tài)やお醫(yī)者様の承継の流れなど、狀況が大きく変化している時(shí)代だと思います。

M：日々、年々、狀況は大きく変化しており、10年前とは全然違います。経営においても人生においても、すべては情報(bào)戦だと思うのです。情報(bào)を知っているからうまくいくというのは、すべての業(yè)種に共通していえることだと思います。
インターネットの普及により、情報(bào)の取り方が、この10年～20年でも大きく変わってしまいました。これまでの情報(bào)媒體がネットに代わり、得られる情報(bào)量が大幅に増えました。ビジネスをするわれわれも、それに対応して動(dòng)き自體を変えなければいけません。先ほどお話しした開業(yè)の仕方でいうと、15年前に私が醫(yī)薬品卸會(huì)社に勤務(wù)していた頃は、勤務(wù)醫(yī)の先生が開業(yè)したいときは、製薬メーカーのMR（製薬企業(yè)の営業(yè)擔(dān)當(dāng)者：メディカル?レプリゼンタティブ）や醫(yī)薬品卸のMS （醫(yī)薬品卸売會(huì)社の営業(yè)擔(dān)當(dāng)者：マーケティング?スペシャリスト）などの営業(yè)擔(dān)當(dāng)者がお世話をしたものです。それが今や、ドクター自身がネットで情報(bào)を得て、何でもできてしまうような狀況になったのです。ですから、頼る人も違うし、情報(bào)も違います。情報(bào)を受け取る側(cè)も、今までは製薬會(huì)社のMRや醫(yī)薬品卸のMSに聞いていたのが、今はいわゆるドクターに強(qiáng)いWebサイトから情報(bào)を受け取っています。あるいは、われわれのホームページに直接アクセスするやり方に完全に変わってしまいました。われわれに求められる仕事も丸抱えではなく、専門的なポイントごとに依頼されるというかたちに変わってきました。
しかし、融資についていえば、銀行に対してどのような情報(bào)を提供していくか、誰にどのようなネゴシエイトをしなければならないか、などのノウハウはネットの中にはなかなか見つかりません。そこはどうしても依頼が來るところです。そういう意味でいえば、今はチャンスが増えてきています。

I：三浦先生は定期的にセミナーを開催されていますが、今後のご活動(dòng)のご予定はありますか。

M：先日、ドクターのオーナー様を?qū)澫螭趣筏骏互撺施`を大和ハウス工業(yè)様と開催しました。受講にいらしたドクターやそのご家族は意識(shí)の高い方ばかりでしたので、有意義なセミナーになりました。大和ハウス工業(yè)様はリレーションという言葉を使っていましたが、つながりを大事にする、つまり建てて終わりではなく、オーナー様のライフプランまでケアしていくことは、大和ハウス工業(yè)様ならではだと思います。將來に向けて、いろいろなニーズに応えていこうとしている會(huì)社なだけあって、すごく協(xié)力していただいています。われわれもライフステージのかなりの場(chǎng)面で攜わらせていただいているので、そういった意味で信頼していただき、何かあったときには聲をかけていただくという意味においても、今回のセミナーは大きな成果があったと思います。建築當(dāng)時(shí)の営業(yè)擔(dān)當(dāng)者も同席いただいたこともあり、非常に濃い內(nèi)容の個(gè)別相談もありました。こうしたセミナーを通じて大和ハウス工業(yè)様のファンを増やし、そのファンとなったドクターからお知り合いのドクターが開業(yè)を思い立ったときにご紹介していただければ、こちらとしてもチームとして開業(yè)や承継の支援に取り組ませていただけます。パートナー企業(yè)として非常にありがたい存在です。