愛媛県に日本一、細(xì)長い半島がある。四國の最西端に突き出す佐田岬半島だ。ここに、海からの強(qiáng)い風(fēng)を受けて回る巨大な風(fēng)車群が林立している。そのうちの9基が、大和ハウスグループ初の風(fēng)力発電所「DREAM Wind 佐田岬」だ。運(yùn)営管理は大和エネルギーが擔(dān)っている。

運(yùn)転開始は2007年。最大出力1,000kW（1MW）の風(fēng)車9基が、年間30,484MWh※1もの電力を生み出す。一般家庭の年間電力使用量に換算すると、実に約6,800世帯分※2に相當(dāng)する。

ところで、建築を創(chuàng)業(yè)事業(yè)とする大和ハウスグループが、なぜ風(fēng)力発電所を自ら建設(shè)し、創(chuàng)エネに乗り出したのだろうか。その出発點(diǎn)には、1990年代に創(chuàng)業(yè)者が予見した「21世紀(jì)の事業(yè)は風(fēng)と太陽と水」という言葉があった。時が経ち、創(chuàng)業(yè)者の想いは風(fēng)力発電機(jī)や太陽光発電システムとして具現(xiàn)化し、やがて大和ハウスグループの環(huán)境エネルギー事業(yè)にとって大きな節(jié)目となる「DREAM Wind 佐田岬」として結(jié)実した。

現(xiàn)在、大和エネルギーの執(zhí)行役員であり、経営戦略室と電力事業(yè)部を率いる島川は、2007年當(dāng)時、技術(shù)の責(zé)任者として「DREAM Wind 佐田岬」の運(yùn)営に攜わっていた。

2012年、佐田岬に続く次のチャンスが到來する。四國電力が風(fēng)力発電の導(dǎo)入量拡大に向け、電気事業(yè)者を新たに募集することになったのだ。大和エネルギーが蓄えてきた力を発揮する待望の機(jī)會だった。早速、事業(yè)者として名乗りを上げ、審査や抽選を経て、大和ハウスグループ第2弾となる「DREAM Wind 愛媛西予」プロジェクトをスタートさせた。候補(bǔ)地は愛媛県西予市だ。

島川は環(huán)境アセスメントの準(zhǔn)備を進(jìn)めながら、現(xiàn)地に責(zé)任者として誰を送り込むか、社內(nèi)を見渡した。適任者が、いた。大和ハウスグループ內(nèi)の會社や部署を渡り歩き、新天地に臆することなく立ち向かう白井だった。

• ※1 2018年度実績
• ※2 家庭1世帯あたりの全消費(fèi)電力量を4,432kWh/年とした場合。経済産業(yè)省 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ」2019年版より試算

風(fēng)車は、大きく分けて4つのパーツで構(gòu)成される。まず造成した土地にコンクリート基礎(chǔ)をつくり、柱となる「タワー」を建てる。最上部に発電機(jī)を格納した「ナセル」を設(shè)置。その背面に「ハブ」と呼ばれる連結(jié)部と、「ブレード」（羽根）を取り付ける。ブレードまで含めた全高は121m。およそ34階建ビルと同じ高さだ。一つひとつのパーツも途方もなく大きい。ブレードは長さ42m、タワーは78mもある。

風(fēng)車は日本企業(yè)の製品だが、ブレードとタワーは世界の風(fēng)車生産地アジアで製造されている。ブレードは中國から、タワーは4分割して韓國から8,000トン級の船で輸送。高知の宿毛灣港で通関手続きを行い、風(fēng)車1基分を3,000トン級の臺船に積み替え、愛媛県西予市の三瓶港で荷揚(yáng)げする。

三瓶港から現(xiàn)地までは車両で運(yùn)ぶ。

中國?韓國から屆いた風(fēng)車のパーツ

この陸上輸送が、風(fēng)車建設(shè)においては高いハードルになる。ルートの県道は住宅地を通り、先は曲がりくねった山道だ。42mのブレードを積んで細(xì)い山道を上がるのは至難の技である。そこで、中間地點(diǎn)に積み替え場を用意。港から積み替え場までの「1次輸送」は、夜中から朝方にかけて大型トレーラで運(yùn)搬。現(xiàn)地までの「2次輸送」は、朝から午後半ばまで県道を全面通行止めにして、トランスポーターという特殊車両で時速4km、人が歩くスピードで運(yùn)ぶ。

日本通運(yùn)のトランスポーターは、積んだブレードを上下だけでなく、左右にも動かせるのが特徴で、角度の微妙な調(diào)整や旋回もできる。よって、道路沿いの樹木伐採や道路拡幅も最小限に抑えられた。環(huán)境配慮の面からも最適なプロジェクトメンバーだった。

輸送が最も難しかったのは、風(fēng)況が最も良い8號機(jī)だ。道路から建設(shè)地までは50mの高低差。取り付け道路はジグザグに折れ曲がったスイッチバックになり、トランスポーターの運(yùn)転は困難を極めたが、チームみんなの協(xié)力で無事に運(yùn)び上げることができた。

パーツを荷揚(yáng)げする西予市の三瓶港

7號機(jī)の建設(shè)地

狹い道路をスイッチバックで上がる

風(fēng)車組み立てのクライマックスは、ブレードの取り付けだろう。スタッフ4、5人が78mあるタワーの內(nèi)部をはしごで上がって頂上の接合部で待ち構(gòu)え、クレーンで吊り上げられたブレードを1枚ずつ取り付けるのだ。風(fēng)が吹くとブレードがあおられてユラユラと揺れる。

風(fēng)は、風(fēng)車建設(shè)工事の大敵だ。強(qiáng)風(fēng)が吹くと工事は中斷。そのため、風(fēng)の弱い夏に組み立てて、風(fēng)の強(qiáng)い冬に試運(yùn)転をする。ただし2018年は例外だった。「平成30年7月豪雨」により西日本を中心に記録的な大雨に襲われた。建設(shè)地は無事だったが、近隣の市町村に多大な被害が発生。職方の人たちは地元の復(fù)舊に盡力し、半數(shù)に減った人員で工事を粛々と進(jìn)めた。翌2019年も、大雨や臺風(fēng)、地震など數(shù)々の災(zāi)害に見舞われたが、日程を何度も見直しながら竣工を目指した。

組み立てが終わった後は、タワー內(nèi)の電気工事やエレベーターの設(shè)置を行う。また、それぞれの風(fēng)車間、風(fēng)車と変電所間の送電設(shè)備は、ほとんどを地下に埋設(shè)。鉄塔や電柱などの人工構(gòu)造物で自然の景観を損なうことなく、送電経路の樹木伐採も最小限に。しかも暴風(fēng)などの災(zāi)害にも強(qiáng)い送電設(shè)備となった。

最初の風(fēng)車が完成したのは2019年7月。白井は「あぁ、やっと1本目が建った」と思ったが、一息つく暇はない。大和エネルギーの若手社員、山本は事業(yè)主としての施工監(jiān)理業(yè)務(wù)に奔走した。完成後のメンテナンスを擔(dān)當(dāng)する田丸は建設(shè)の経緯を把握するため、現(xiàn)地で工事を見守った。白井は、平日は愛媛、土日は大阪の自宅へ夜行バスで行き來した。上司の島川から「次の風(fēng)力発電所は任せたぞ」と託されたプロジェクトは、気が付くと7年に及び、當(dāng)時幼かった子どもは小學(xué)校の高學(xué)年になっていた。

そうして大勢の人々が長い時間と情熱を捧げた「DREAM Wind 愛媛西予」は2020年3月16日、ついに運(yùn)転を開始した。