高齢期に、土地活用が求められる理由

ファイナンシャルプランニング（≒お金の健康維持管理）のためには、①収入を増やすか、②支出を減らすか、③資産運(yùn)用をすることにより収入を増やすか、ということが大切です。収支（収入－支出）がプラスであれば、結(jié)果として預(yù)貯金など金融資産が増加しますから、③資産運(yùn)用がしやすくなります。萬(wàn)が一、収支がマイナスだったとしても、保有している金融資産があれば、取り崩して、生き永らえることができます。ただし、そうでない場(chǎng)合、問(wèn)題は深刻化します。
一般的に、緊急資金として「半年程度の生活費(fèi)相當(dāng)額は確保したほうが良い」と言われていますが、特に高齢期に、収支がマイナスで金融資産が不足するような狀況が起きると厄介です。65歳で勤務(wù)先を退職した場(chǎng)合、それまで當(dāng)然のようにあった給與などの定期収入が年金に変更されるからです。年金は政策上、現(xiàn)役時(shí)代の50％前後の水準(zhǔn)に想定されていますから、現(xiàn)役時(shí)代よりも確実に収入が減少し、余裕が無(wú)くなります。
また、もう少しマクロ経済という広い視點(diǎn)でみると、65歳以上の高齢者は全人口の3割前後となっています。現(xiàn)狀、高齢者は世代別にみれば多數(shù)派になりつつありますから、以前のように必ずしも高齢者の方が社會(huì)的弱者ばかりとはいえない狀況です。ですから、徐々に自助努力が求められてくると思われます。
実際、國(guó)の歳出でも、社會(huì)保障費(fèi)の割合は高く、年々増加傾向にあります。今後も高齢者の割合は増加することが確実ですから、そういう意味からも、今後ますます個(gè)々人での自助努力が求められるでしょう。

2021年から動(dòng)き出す新しい住宅政策とは？（8）人生100年時(shí)代への対応～長(zhǎng)壽化について

高齢期の労働には限界がありますから、前述の③資産運(yùn)用をすることにより収入を増やす方法を検討することとなります。年齢別にみた場(chǎng)合、他の世代に比べ、住宅も含めた不動(dòng)産の保有割合は高齢者世帯が多いので、住宅も含めた不動(dòng)産を有効活用することを一度は考える方が多いわけです。

介護(hù)の問(wèn)題が大きく影響！？

日々の生活費(fèi)が厳しくなるだけではなく、それ以外で考慮する必要があるのが、加齢に伴う「介護(hù)費(fèi)用」になります。
介護(hù)費(fèi)用がいくらかかるか？気になるところですが、個(gè)々人によって異なるというのが結(jié)論です。実際に「考えるだけでも辛い」と見(jiàn)て見(jiàn)ぬ振りをしている方や想定していない方もいらっしゃいます。
介護(hù)には大きく分類すると「在宅介護(hù)」と「施設(shè)介護(hù)」の2つがあります。ご自宅で介護(hù)を行う「在宅介護(hù)」は、精神的?身體的な負(fù)擔(dān)が大きくなります。介護(hù)をプロに任せられる「施設(shè)介護(hù)」は、精神的?身體的負(fù)擔(dān)は抑えられますが、その分、経済的負(fù)擔(dān)が大きくなります。

生命保険文化センターの「生命保険に関する全國(guó)実態(tài)調(diào)査（令和3年度）」によると、介護(hù)に要した費(fèi)用（公的介護(hù)保険サービスの自己負(fù)擔(dān)費(fèi)用を含む）のうち、リフォームや介護(hù)用ベッドの購(gòu)入などの一時(shí)費(fèi)用は平均74萬(wàn)円です（図1）。分布を見(jiàn)ると、「掛かった費(fèi)用はない」が15.8％（前回15.8％）、「15萬(wàn)円未満」が18.6％（前回19.0％）と比較的費(fèi)用がかかっていない割合が多くなっています。

図1：介護(hù)費(fèi)用（一時(shí)的な費(fèi)用の合計(jì)）

生命保険文化センター「生命保険に関する全國(guó)実態(tài)調(diào)査（令和3年度（2021年9月））」より作成

月々の費(fèi)用は平均8.3萬(wàn)円となっています（図2）。分布を見(jiàn)ると、「15萬(wàn)円以上」が16.3％（前回15.8％）で最も多く、次いで「1萬(wàn)～2萬(wàn)5千円未満」15.3％（前回15.1％）、「2萬(wàn)5千円～5萬(wàn)円未満」12.3％（前回11.0％）、「10萬(wàn)～12萬(wàn)5千円未満」11.2％（前回11.9％）となっています。

図2：介護(hù)費(fèi)用（月額）

生命保険文化センター「生命保険に関する全國(guó)実態(tài)調(diào)査（令和3年度（2021年9月））」より作成

2000年に創(chuàng)設(shè)された公的介護(hù)保険制度により、経済的負(fù)擔(dān)は多少和らぐとはいえ、大きな負(fù)擔(dān)といえるでしょう。

一方で、介護(hù)を行った期間はどのくらいなのでしょう。ここでは2つの指標(biāo)を參考にしてみます。1つ目は、前記の生命保険文化センターの「生命保険に関する全國(guó)実態(tài)調(diào)査（令和3年度）」にあるデータです。
介護(hù)を始めてからの期間（介護(hù)中の場(chǎng)合は経過(guò)期間）を見(jiàn)ると、平均61.1カ月（5年1カ月）となっています（図3）。分布を見(jiàn)ると、「4～10年未満」が31.5％（前回28.3％）と最も多く、次いで「10年以上」が17.6％（前回14.5％）、「3～4年未満」が15.1％（前回14.5％）、「2～3年未満」が12.3％（前回14.5％）、となっています。

図3：介護(hù)期間

生命保険文化センター「生命保険に関する全國(guó)実態(tài)調(diào)査（令和3年度（2021年9月））」より作成

2つ目のデータは、令和3年版高齢社會(huì)白書(shū)（內(nèi)閣府）の中にある「健康壽命と平均壽命の推移」です。
日常生活に制限のない期間（健康壽命）は、平成28年（2016年）時(shí)點(diǎn)で男性が72.14年、女性が74.79年となっており、それぞれ平成22年（2010年）と比べて、男性が1.72年、女性が1.17年延びています。平均壽命は、男性が80.98年、女性が87.14年ですから、この平均壽命と健康壽命の差、男性で8.84年（＝80.98－72.14）、女性で12.35年（＝87.14－74.79）が、介護(hù)が必要な期間だといえます。

図4：健康年齢と平均壽命の推移

出典：內(nèi)閣府高齢社會(huì)白書(shū)「健康壽命と平均壽命の推移」　令和3年版（2021年9月）

これらの結(jié)果から、介護(hù)期間は5～13年ほどかかると考えたほうが良さそうです。この介護(hù)期間に、先ほどの介護(hù)に要した費(fèi)用を當(dāng)てはめてみると、介護(hù)費(fèi)用は1人あたり約589萬(wàn)円※1～約1300萬(wàn)円※2もかかることが推計(jì)されます。

※1　589萬(wàn)円：62カ月×8.3萬(wàn)円／月+74萬(wàn)円＝588.6萬(wàn)円
※2　1311萬(wàn)円：149カ月×8.3萬(wàn)円／月+74萬(wàn)円＝1,310.7萬(wàn)円

介護(hù)には大きな経済的負(fù)擔(dān)がかかるとともに、いつまで続くかわからないという精神的な負(fù)擔(dān)が重くのしかかります。また、介護(hù)をきっかけに、多くの方が実家の管理や相続など、將來(lái)のことを考えるようになります。介護(hù)について考え始めるのは、早すぎるということはないでしょう。

意思決定ができなくなることが最大の問(wèn)題！？

高齢期は、意思決定ができなくなるという點(diǎn)も考慮する必要があります。
平成29年版高齢社會(huì)白書(shū)の、65歳以上の認(rèn)知癥高齢者數(shù)と有病率の將來(lái)推計(jì)によると、平成24年（2012年）は認(rèn)知癥高齢者數(shù)が462萬(wàn)人と、65歳以上の高齢者の約7人に1人（有病率15.0％）でしたが、平成37年（令和7年／2025年）には約5人に1人になるとあります。

図5：65歳以上の認(rèn)知癥患者の推定者と推定有病率

出典：內(nèi)閣府「平成29年版高齢社會(huì)白書(shū)」

將來(lái)のファイナンシャルプランニングのご相談をお受けする際に、介護(hù)費(fèi)用について「うちはまだ大丈夫」とか「狀況がもっと厳しくなったら考える」と言われる方が多いのですが、認(rèn)知癥などになってしまったときには、経済的に問(wèn)題が無(wú)くても意思決定ができない狀況となり、結(jié)局「何もできなくなってしまった」という事態(tài)になっているご家庭を多く見(jiàn)受けます。

まとめ

賃貸住宅経営に必要な長(zhǎng)期的視點(diǎn)に立つと、現(xiàn)在いわれている高齢化は、「ヒト」からみた高齢化、住まいなど「モノ」からみた老朽化、その2つを主な原因とした家計(jì)「おカネ」からみた狀況の悪化という3つの視點(diǎn)からみることができます。
今回は「ヒト」の視點(diǎn)からみていきました。
次回以降、「モノ」「おカネ」の視點(diǎn)からみていきたいと思います。