令和3年度住生活基本計(jì)畫によると、2023年（令和5年）をピークに、世帯數(shù)が減少に転じる見込みです。賃貸住宅の需要は、世帯數(shù)の増減と密接な関係があります。増加を続けている高齢者世帯は2021年（令和3年）からの10年間も緩やかに増加し、単身世帯全體でも2032年（令和14年）にピークを迎え、全世帯の4割弱を占めると予想されています。

賃貸経営をするうえで、世帯構(gòu)造と環(huán)境の変化に合わせた住居を提供することが大切です。 2022年（令和4）年5月24日、東京都は“一定の新築建物を供給する事業(yè)者を?qū)澫螭颂柟庠O(shè)置パネルを義務(wù)化する”という都民の健康と安全を確保する環(huán)境に関する條例（環(huán)境確保條例）の改正について、都民?事業(yè)者の聲を有識者がまとめていくという內(nèi)容の中間案を発表しました。東京都が國に先駆けて、脫炭素に向け動(dòng)きだしたことになります。今後は住宅でも、溫室効果ガスの排出をゼロにする2050年カーボンニュートラルの達(dá)成のために、CO2の排出量の削減強(qiáng)化が必須となります。

賃貸住宅の仕様も、國の施策に沿って加速度的に動(dòng)いていくでしょう。また高齢者世帯では、將來の介護(hù)に備えてリフォームをする人もいれば、郊外の戸建てから都心回帰を希望する人もいます。さらに、ご自身が元?dú)荬胜Δ沥烁啐h者向け住宅に住み替えるなど、さまざまなニーズがあると思います。

そこで今回は、3つのポイントを踏まえて、高齢者と賃貸住宅の動(dòng)向についてお話していきます。

1つ目のポイント：高齢の単身世帯と賃貸住宅の相性

住生活基本計(jì)畫目標(biāo)の1つに、「居住者?コミュニティ」の視點(diǎn)として、目標(biāo)4「高齢者、障がい者等が健康で安心して暮らせるコミュニティの形成とまちづくり」があります。高齢者の方はどのような住まいと相性が良いのでしょう。
高齢期になると、それまで住んでいた戸建てから集合住宅に移るという方がいます。その理由は、夫婦二人の生活になり「大きな家が不要になった」「戸建管理が負(fù)擔(dān)に感じる」「自身で移動(dòng)手段を持たないため利便性の良い物件に魅力を感じた」などです。

一方で貸す側(cè)（オーナー）は、以下の2つの理由から、貸すことを悩ましく思っているケースがあります。

• 高齢者に賃貸物件を貸し渋る2つの理由
• （1）健康面や孤獨(dú)死によるリスクが高い
• （2）家賃支払に不安がある

孤獨(dú)死は悩ましい問題です。內(nèi)閣府「高齢者の住宅と生活環(huán)境に関する調(diào)査（平成30年）」によると、60歳以上の一人暮らしの5割超が孤獨(dú)死を身近な問題と捉えています。
同調(diào)査によると、高齢男性の単身世帯の半數(shù)以上が、近所の人とはあいさつ程度の付き合いです。これでは、何かあったときに誰にも見つけてもらえないと心配するのもわかります。
不動(dòng)産取引の重要事項(xiàng)説明の際には、宅地建物取引業(yè)者は、自然死?日常生活での不慮の死（転倒、誤嚥等）を告げなくてもよいとされています。一方、一般社団法人日本少額短期保険協(xié)會(huì)「第5回孤獨(dú)死現(xiàn)狀レポート」によれば、孤獨(dú)死が発見されるまでの平均日數(shù)は約17日です。
約4割が3日以內(nèi)、3割が4日～14日間で発見されます。長期間発見されなかった場合は、特殊清掃などを行う必要があります。住人同士の情報(bào)交換ができる関係を保つことが理想ですが、賃貸物件では難しいのが現(xiàn)狀です。

図1：「居住者?コミュニティ」の視點(diǎn)

出典：國交相　高齢者の住まいに関する現(xiàn)狀と施策の動(dòng)向

次に、金銭面での不安についてです。「令和3年版高齢社會(huì)白書」によると、高齢期の収入は公的年金のみという世帯が全體の半數(shù)を占めています。高齢世帯の平均所得は312.6萬円で、その他の世代と比べて低く、中央値は255萬円とさらに低くなります。ここだけをピックアップすると、たしかにオーナーにとっては家賃の支払いや家賃の未回収の不安がよぎります。

ところが同調(diào)査によると、60歳以上の世帯は負(fù)債が少なく、貯蓄額もその他の世代より多いのです。貯蓄現(xiàn)在高では、全世帯の中央値1,033萬円に対し、60歳以上の世帯の中央値は1,506萬円で、1.5倍ほど所有しています。このため、家賃債務(wù)保証會(huì)社を利用すれば、家賃の取りこぼしも防げます。家賃債務(wù)保証會(huì)社の年代別審査狀況（図2參照）では、60代では約5割が通りやすいという結(jié)果になっています。

図2：家賃債務(wù)保証會(huì)社の審査狀況

民間會(huì)社の家賃債務(wù)保証の審査狀況を見ると、年齢では、高齢者が通りにくく、屬性別では、生活保護(hù)受給者や外國人等が通りにくい傾向。

年代別の審査狀況

屬性別の審査狀況

出典：（公財(cái)）日本賃貸住宅管理協(xié)會(huì)（平成28年6月）「家賃債務(wù)保証會(huì)社へのアンケート調(diào)査」

2つ目のポイント：これからの高齢世帯が安心?安全に暮らせる住宅は

人生100年時(shí)代で、平均壽命も延伸しています。高齢者の71％が戸建て住宅で暮らしています。心身の機(jī)能が低下、障害が生じるなど、配慮が必要な方が暮らしやすい住宅には、どのような工夫が施されているでしょうか？

住生活基本計(jì)畫目標(biāo)の目標(biāo)4（図1參照）では、エレベーターの設(shè)置を含むバリアフリー性能や、ヒートテック対策等の観點(diǎn)を踏まえた良好な溫?zé)岘h(huán)境を備えた住宅の設(shè)備、リフォームの促進(jìn)をかかげています。具體的にリフォームをする際の目安として、國土交通省「高齢期の住まいに関する現(xiàn)狀と施策の動(dòng)向」があります。

ガイドラインによれば、以下のとおりです。

• ?溫?zé)岘h(huán)境でヒートショックを防ぐ：冬暖かく、夏涼しい
• ?トイレ?浴室の利用しやすさ：身體への負(fù)擔(dān)を減らす、可能な限り自宅で過ごすことが可能
• ?容易な外出で孤立を防ぐ：外出の機(jī)會(huì)が増える?人が集う住まい

図3：高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン：概要

＜配慮項(xiàng)目と改修する空間＞

＜改修のイメージ＞

出典：國土交通省「高齢期の住まいに関する現(xiàn)狀と施策の動(dòng)向」

高齢者が居住する住宅の一定のバリアフリー化率目標(biāo)數(shù)値は、2025年（令和7年）に75％となっています。しかし、2018年（平成30年）の時(shí)點(diǎn)では42％とまだまだ低く、目標(biāo)數(shù)値と現(xiàn)狀に乖離があります。ガイドラインに沿ったリフォームが実施されれば、近年問題となっている高齢者のヒートショック、トイレやお風(fēng)呂での事故の発生を未然に防ぐことにつながります。
高齢者の健康管理に、IoT技術(shù)を活用した見守りを取り入れて、安心な暮らしを手に入れる方法もあります。この方法は、大きなリフォームをせずに簡単に取り入れることが可能です。また、高齢者だけでなく、子育て世帯にとっても便利なサービスといえます。

• IoTを活用のあれこれ
• ?キッチンと寢室にWEBカメラを取り付ける
• ?エアコン、加濕器の運(yùn)用をスマートフォンで確認(rèn)
• ?溫度?濕度を自動(dòng)記録しスマートフォンでチェック
• ?能な箇所は全て自動(dòng)點(diǎn)燈（人感センサー）

リフォームにより環(huán)境が整備された居住空間であれば、より元?dú)荬巧饶氦椁工长趣扦毪扦筏绀Α＝】祲勖婴婴耄结t(yī)療費(fèi)、介護(hù)費(fèi)用の削減にもつながります。また、すでに要支援?要介護(hù)認(rèn)定を受けている方は、高齢者住宅改修費(fèi)用助成制度を活用して、経済的負(fù)擔(dān)が少なくなる住まいにリフォームすることが望ましいでしょう。

3つ目のポイント：自立できる高齢者の住替え事情

高齢期を迎え、將來のことを考えて利便性のよい都市部への転居を望む方がいます。あるいは、高齢者向け住宅を検討する方もいらっしゃるでしょう。高齢者が自立して暮らす選択肢として、高齢者向け住宅（優(yōu)良老人ホーム、経費(fèi)老人ホーム、高齢者向け優(yōu)良賃貸住宅、サ高住等を含む）への住替えもあります。
サービス付き高齢者向け住宅の現(xiàn)狀等によると、平成30年度高齢者向け住まい?施設(shè)を利用した人は約86萬人です（図4參照）。また同調(diào)査によれば、サービス付き高齢者向けの住宅の入居費(fèi)用は、全國の月額平均で約10.5萬円です（図5參照）。この費(fèi)用に含まれるものは、家賃、共益費(fèi)、サービス費(fèi)（生活相談?見守り）です。この費(fèi)用以外にも、生活費(fèi)用が必要となります。援助してくれる家族がいない、年金、預(yù)貯金等の資産が乏しい場合は、民間の高齢者向け住宅への住替えは難しいかもしれません。

図4：高齢者向け住まい?施設(shè)の利用者數(shù)

• ※1：介護(hù)保険3施設(shè)及び認(rèn)知癥高齢者グループホームは、「介護(hù)サービス施設(shè)?事業(yè)所調(diào)査（10/1時(shí)點(diǎn)）【H12?H13】」、「介護(hù)給付費(fèi)等実態(tài)調(diào)査（10月審査分）【H14～H29】」及び「介護(hù)給付費(fèi)等実態(tài)統(tǒng)計(jì)（10月審査分）【H30～】」による。
• ※2：介護(hù)老人福祉施設(shè)は、介護(hù)福祉施設(shè)サービスと地域密著型介護(hù)老人福祉施設(shè)入所者生活介護(hù)を合算したもの。
• ※3：認(rèn)知癥高齢者グループホームは、H12～H16は癡呆対応型共同生活介護(hù)、H17～は認(rèn)知癥対応型共同生活介護(hù)により表示。（短期利用を除く）
• ※4：養(yǎng)護(hù)老人ホーム?軽費(fèi)老人ホームは、「社會(huì)福祉施設(shè)等調(diào)査（10/1時(shí)點(diǎn)）」による。ただし、H21～H23は調(diào)査票の回収率から算出した推計(jì)値であり、H24～H29は基本票の數(shù)値。（利用者數(shù)ではなく定員數(shù)）
• ※5：有料老人ホームは、厚生労働省老健局の調(diào)査結(jié)果による。（利用者數(shù)ではなく定員數(shù)）
• ※6：サービス付き高齢者向け住宅は、「サービス付き高齢者向け住宅情報(bào)提供システム（9/30時(shí)點(diǎn)）」による。（利用者數(shù)ではなく登録戸數(shù)）
• ※7：高齢者向け住宅：有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、軽費(fèi)老人ホーム、高齢者向け優(yōu)良賃貸住宅、シルバーハウジング

出典：國交省サービス付き高齢者向け住宅の現(xiàn)狀等より

図5：サービス付き高齢者向け住宅の入居費(fèi)用

入居費(fèi)用は、家賃、共益費(fèi)、サービス費(fèi)（生活相談?見守り）で、月額約10萬円程度。

サービス付き高齢者向け住宅の入居費(fèi)用（月額）^※

• ※家賃、共益費(fèi)、必須（生活相談?見守り）サービス費(fèi)用の合計(jì)。ただし、必須サービス費(fèi)用は、介護(hù)保険適用分（1割負(fù)擔(dān)）を除く。
• ※平成30年12月末時(shí)點(diǎn)における登録情報(bào)による
• ※大都市圏：埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県／地方圏：その他の道県

出典：國交省サービス付き高齢者向け住宅の現(xiàn)狀等より

ただし、高齢者の持家率は81％と高く、そのうちの71％が戸建て住宅を所有しています。高齢者がスムーズな住替えを果たす鍵となるのは、所有している住宅を流通市場に反映せていくことです。既存住宅の流通市場規(guī)模は、2013年（平成25年）3.9兆円から2018年（平成30年）4.5兆円に増加しています。とはいえ、流通戸數(shù)は16.9萬戸から16萬戸に減少しています。既存住宅の価値が適正に評価されない原因の1つが、消費(fèi)者が既存住宅の不具合や質(zhì)に対して不安を持っていることです。

「どのようなサービスがあれば既存住宅の購入を検討するか」という質(zhì)問に対して、上位3つの回答は以下のとおりです。

• （1）充実した保証やアフターケア
• （2）リフォーム?リノベーション済の物件
• （3）隠れた不具合を診斷してくれるサービス

この部分が充実することで、既存住宅の流通もさらに活性化するでしょう。

図6：既存住宅の購入を検討するためのサービスについて

出典：「我が國の住生活の狀況調(diào)査」（國土交通省、令和2年10月）

新型コロナウイルス感染癥を契機(jī)に、働き方の多様化が進(jìn)展しました。高齢者は郊外の一戸建て、働き盛りの人たちは都市部という構(gòu)図だけでなく、テレワーク等を活用すれば、どの世代であってもご自身の選んだ場所で暮らすことが可能な社會(huì)になりつつあります。多世代が共存する街が「新たな日常」をつくっていきます。

高齢者が自立して暮らすために必要なのは、一人で生活できることだけではなく、適切な支援を受けやすい環(huán)境です。そういった意味でも、高齢者の適切な賃貸住宅（高齢者住宅を含む）住替えが進(jìn)むことが望まれます。

図7：地域包括ケアシステム

出典：平成28年3月　地域包括ケア研究會(huì)報(bào)告書より

まとめ

近い未來、おひとりさまと呼ばれる?yún)g身世帯が4割弱を占める時(shí)代がやって來ます。高齢期こそ、ライフスタイルに合わせた柔軟な住み替えが必要です。
建築學(xué)者である上田篤氏が1973年（昭和48年）に提唱した昭和版の住宅雙六から、今後は、住生活基本計(jì)畫の目標(biāo)4の令和版「住宅すごろくを超えた新たな住宅環(huán)境システムの構(gòu)築」に沿って、國、地方自治體はかじをとっていきます。

住宅は、存在するかぎりCO2を発生し続けます。2050年のカーボンニュートラルの実現(xiàn)に向けて、住宅環(huán)境システムの構(gòu)築と良質(zhì)な住宅ストックの形成が欠かせません。新築住宅では、長壽命でライフサイクルCO2の少ない長期優(yōu)良住宅、ZEH住宅が促進(jìn)されていくでしょう。また、既存住宅では、継承する価値のある住宅へのリフォーム等が進(jìn)むと考えられます。
賃貸経営もこの流れに沿うべきです。國の施策に沿ったより価値のある物件を提供することで、結(jié)果として安定した経営につながるはずです。